最近、朝型勤務を取り入れる会社が出てきています。
出社時間を早くして、夜の時間を社員に有効に使ってもらおうという試みです。9時~6時の勤務だと、残業をすると、他に無いも出来なくなってしまいますからね。始業を早めれば、仕事の後の時間で何かする事も可能になると言うわけです。
また、朝型勤務にすると、作業効率が上がるという話もあります。例えばニューズウィークによると、伊藤忠商事などは既に朝型勤務を取り入れているようです。そして「効率化が実現した」という事を言っているようですね。1
デンソーが3か月限定でテスト
ただ朝型勤務は、まだ本格的に導入しているところは少ないようです。テストをしている段階のところが多いようですね。
例えば、自動車部品メーカーのデンソーでは2015年の7月から9月限定で、出社時間を早める取り組みをするようです。しかも、本社のみの話みたいですね。2
基本的にデンソーの本社はフレックスタイムを取り入れているようです。一応、8時40分と定時が決まっているのですが、今回はこれを1時間早めるということです。
「午前7時から7時半までに出勤した従業員には、朝食を無料で提供する3 」などの取り組みをして、従業員が協力しやすい環境を作るようですね。また、夜8時以降は原則残業を禁止するようです。
製造業で朝型勤務を取り入れているところは珍しいようですね。どんな結果になるのか興味深いです。
作業効率が上がる理由は何故?
ところで、朝型勤務にすると作業効率が上がるとする根拠は何なのでしょうか。先ほどのニューズウィークの記事には、3つの理由が挙げられていました。
(1)仕事を大きく「対面型」と「個人作業型」に分けるのであれば、「対面型」は主として9時から5時の「定時」に行われる可能性が高い。その場合に「個人作業型」の業務を、一日の仕事で疲労した更に後に行うよりも、疲労から回復した早朝に行う方が効率が上がる可能性はある。
作業効率が良いと考えられる朝の時間帯に、一人でやる仕事は片付けられると言うのがメリットという事ですね。これは納得しやすいですね。
特に、頭を使う仕事だと、この傾向は強いのかもしれません。夜中に疲れ切った状態で企画やら設計やらの仕事をしようと思っても、時間がかかるばかりで作業は進まないでしょう。
(2)「対面型」が「残業時間帯」に食い込んだ場合には「個人作業型」の作業が断続的になったり、深夜に追いやられたりすることがある。早朝の場合はそうした「邪魔」が入らない。
これは「(1)」の話の補足みたいな感じでしょうか。まあ、確かに、朝なら邪魔は入りません。
(3)「個人作業型」の中には翌日の会議や営業活動のための「資料作り」があるが、「下手をすれば終電でもいいや」という「時間の余裕」があるよりも、「当日の朝で、本番まで残り数時間」という切羽詰まった状態の方が集中力とスピードが出る。
これも経験的に分かる人が多いのでは無いでしょうか。時間に余裕があると思うと、なかなか作業に手が付かなかったりしますよね。さらには、書類が書きあがっても細かい部分が気になって、余計な修正に時間を使ったりします。
この手の資料作りをする際には、時間を決めて集中的にやってしまう方が望ましいことが多いです。その意味では、朝型にして9時までに資料を仕上げてしまうというスタイルは、理想的かもしれません。
こうやって考えると、設計やら企画やらの仕事をする場合には、かなり効果がありそうですね。もっとも、全ての職種で同様かと言われると、ちょっと分からない部分はありますけど。
この他にも、通勤時間の分散によるラッシュの減少なども期待できそうです。確かに、30分早く出るだけで、通勤が大分楽になる事もありますからね。実は、これも結構大きそうです。
もっとも、みんな朝型にしたら、同じ分ずれるだけなんですけどね。まあ、全員が一斉に朝型になると言うような事もないでしょう。
義務化にしてしまうと問題がありそうな気もする
上に書いたようなメリットがあるので、朝型勤務を導入するメリットは大きそうです。ただ、あるていど任意に朝勤務が出来るようにしておかないと、最初のうちは難しい部分もありそうです。
つまり、全員の仕事の時間を全て1時間とか2時間早くしようと思うと、色々な弊害がありそうなのです。そうではなく、朝に残業をするというようなイメージにすることが大事なようですね。
全員に強制してしまうと、特に子供のいる女性には問題になるでしょう。幼稚園や保育園が子供を預かる時間は決まっていますから、なかなか対応は難しいはずです。
幼稚園や保育園に限らず、仕事時間が早くなると、今まで朝利用できていたサービスが利用できなくなるわけです。この点はちょっと考慮が必要そうですね。
誤解もあるようです
ネットを見ていると、朝型勤務に対する誤解もあるようです。一番大きな誤解は、トータルの勤務時間は変わらないと言うものです。
朝に仕事時間がシフトするだけで、実質の労働時間は変わらないと思っている人が多いようですね。でも、そうだとしたら、わざわざ朝型勤務にするメリットはありません。
上に書いたように、朝型にすることで作業効率が上がることが期待できます。そうであれば、実質の労働時間も減らすことが出来るでしょう。
このあたりの誤解を解くのも、制度導入当初には必要でしょう。
- 「朝型勤務」で仕事の効率は上がるのか?
ニューズウィーク日本語版 [↩] - デンソー、社内サマータイムを試験導入…コアタイムを朝型に
レスポンス 2015年5月11日 [↩] - 朝食無料提供、朝型勤務を試験導入するデンソー
読売新聞 2015年5月11日 [↩]
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