「実質賃金」を見たら嘘吐きと思え?| ミスリードのために使っているケースがかなり多いようです

2015年10-12月期GDP の速報値が発表されました。それによると、2015年10-12月期は、年率換算で前期比-1.4%だったということです。

どうやら、個人消費の落ち込みが足を引っ張ったようですね。

毎日新聞の分析はちょっとおかしいぞ

さて、この速報値に関して、毎日新聞が次のように分析しています。

個人消費の落ち込みは、暖冬による冬物衣料などの不振もあるが、賃金の伸び悩みの影響が大きい。物価変動の影響を除いた実質賃金は15年通年で前年比0.9%減。10~12月期も横ばいだった。円安などを背景に企業業績は好調だが、賃金の上昇を通じて消費を拡大するという、安倍晋三政権が目指す「経済の好循環」の実現は遠いのが実情だ。1

この説明を読んで、どう思われたでしょうか。個人的には、かなり胡散臭い感じがします。

個人消費が落ちて景気が悪くなったという部分は、しっかり調査された事実です。ですから、疑う余地は無いでしょう。

しかしその分析は、かなり違和感を覚えるのです。というのも、「実質賃金」で消費を説明するのは、かなり無理があるからです。

景気が悪くなって実質賃金があがることも

実質賃金というのは、労働者の賃金を平均した上で物価変動を考慮したものです。ということは、今まで働いていない人がアルバイトやパートタイムの仕事をするようになると、一般に実質賃金は下がることになります。

これは平均の計算式を考えてみると当然ですよね。比較的賃金が低い人たちが、平均の計算の対象に加わるわけですから、平均は下がります。

つまり、一人一人の労働者の賃金が下がっていなくても、というか上がっていても、実質賃金は下がることがあります。大事なのでもう一度言いますね。一人一人の賃金が上がっても、実質賃金は下がることがあるのです。

逆に不景気になって、会社はアルバイトやパートタイムの労働者を解雇していったとします。そうすると、給与が高い正規社員だけが残ることになりますね。

こんな場合は、実質賃金は上がることになるのです。給与が安い社員が減るので、平均である実質賃金は上がるわけですね。

つまり、実質賃金だけを見ても、景気の判断なんてできないのです。

毎日新聞は大丈夫か?

賃金と景気の話をしたければ、すべての労働者の報酬の合計である雇用者報酬を使うべきでしょう。一人一人の平均ではなく、全体を見るのが正しいのです。

報酬の総額だったら、実質賃金のようなごまかしの説明はできません。非常に理解しやすい数字のはずです。

となると、景気の議論で実質賃金を持ち出してきた毎日新聞は、何を考えているのでしょう。非常に疑問ですよね。

率直に言って私には、次の2つの可能性しか考えられません。

①実質賃金で消費を説明するのは無理であることがわかっていない
②何かの意図があって、ミスリードをしようと考えた

これって、どちらだとしても酷い話ですよね。これ以外の可能性もあるのかなあ。

どちらにしても、個人消費の議論に実質賃金を使っている段階で、あまりスジがいい議論とは思えません。

理由はともあれ、こんな議論をしている毎日新聞は、本当に大丈夫なのでしょうか?安倍政権とアベノミクスを批判するためだけに記事を書いていませんか?

「実質賃金」を見たら嘘吐きと思え

もちろん、実質賃金は無駄なものではありません。経済指標としては意味がある数字です。

しかし、政治家やメディアが実質賃金を持ち出すときは、ミスリードのためであることが多いように思います。まさに今回の毎日新聞がやっているように使うのです。

議論やら解説やらの中で「実質賃金」の文字をみたら、まず疑ってかかりましょう。受け手に誤解させるために使っていることも少なくありません。

特に今回の記事のように、実質賃金がさがったから消費が落ちたという説明なんて、その典型ですね。たぶん、毎日新聞の記事を読んで、信じてしまっている人もいるはずです。


  1. <GDPマイナス>個人消費の不振、顕著
    毎日新聞 2016年2月15日 []

タグ: , , ,

スポンサードリンク

スポンサードリンク

関連した記事を読む


コメントは受け付けていません。