業務上のケガや病気、通勤中のケガなどの治療をするときには、病院で健康保険証を出してはいけません。うっかり健康保険で処理をしてしまうと、後々面倒なことになります。
労災保険について、労働者はそれほど詳しい必要はありません。ただ、これは非常に大事なルールです。ぜひ覚えておくようにしましょう。
誰かに雇われて仕事をしている人が、労災保険に関して、ぜひ知っておきたいことがあります。それは、労災保険が使える人は、仕事や通勤時のケガや病気で病院に行った場合には、健康保険証を出してはいけないという事です。
これを知っていないと、後々面倒なことになる可能性があります。ぜひ覚えておいてください。
療養(補償)給付
労災保険には療養(補償)給付という給付があります。これはどんなものかというと、仕事上や通勤中の病気やケガの治療費の自己負担が無料または200円になるというものです。これは入院だけでなく入院する場合でも同様です。
健康保険に比べて自己負担がとても小さくなるので、労働者にとってかなり有利な仕組みだと言って良いでしょう。
健康保険だと原則3割負担なので、結構大きな額になる場合もありますからね。特に入院をした場合などは、保険を使っても結構自己負担額は大きくなります。
間違って健康保険証を出してはダメ
ただ、療養(補償)給付には、ちょっと注意する点があります。仕事上や通勤中の病気やけがの場合、間違って健康保険証を出してはいけないのです。
これは、単純に、健康保険の方が自己負担が大きく損をするという話ではありません。本来は労災保険で処理すべきケースでは、健康保険は使えないのです。
なぜかというと、健康保険と労災保険は、全く別の保険だからです。守備範囲が違うので、労災保険に該当する場合は、そもそも健康保険は使えないというルールなのです。
あとから処理はできるが面倒
ですから、うっかり健康保険を使って処理をしてしまった場合、面倒な手続きが発生します。具体的には、次のような事をしないといけません。1
- 健康保険で給付された部分を健康保険に返還する。ようするに、自己負担した3割以外の7割の部分を健康保険に支払います。
- 療養に要した費用を労働基準監督署に請求する。
このように、あとから処理はできますが、手続きが面倒なのです。
特に症状が軽いものの場合、少額のために時間を取らないといけません。かける時間を考えると損をしているとすら言えそうです。
こんなトラブルを避けるためにも、仕事上や通勤中の病気やケガでは、最初から労災として処理するべきなのです。
可能であれば、労災病院又は労災指定医療機関などを使うと特に便利でしょう。それが無理で普通の病院に行く場合も、健康保険を出さずに労災であることを伝えましょう。
タグ: 健康保険証を出してはいけない, 療養(補償)給付
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