労災保険というと、仕事上のケガの治療費負担を思い浮かべる人もいるかと思いますが、実際にはそれだけではありません。仕事ができない期間の所得補償的な給付もあるのです。
具体的にどんな給付があるのか、代表的なものを整理しておきましょう。
業務災害か通勤災害かで名前が違う
前提条件として覚えておきたいのが、労災保険の給付は、業務上の仕事やケガが原因のものだけではないという点です。通勤災害に対しても給付があるのです。
ただ、その場合は、「補償」が抜けた名称となります。たとえば、業務上のケガに関する治療は療養補償給付ですが、通勤災害に関しては療養給付と名前がかわります。
とは言え、給付の内容はほとんど同じなので、名前が違うだけで中身は同じと認識しておいていいでしょう。専門家にでもなるのなら、話は別ですけどね。
療養(補償)給付
療養(補償)給付は仕事や通勤で発生した病気やけがの治療の給付です。
原則無料で治療を受けることができます。ただし、通勤災害の場合は、自己負担金200円(日雇いの場合は100円)が発生することがあります。
注意したいのが、かかる病院で給付の扱いが若干違うという点でしょう。
労災病院や労災指定病院等で治療を受けた場合は、現物支給という形なので無料です。1 本人は何も払わなくてもいいのです。
しかし、労災病院・労災指定病院以外で治療を受けた場合は、いったん自分で料金を支払わないといけません。その後、労働基準監督署に請求して現金を受け取るという手順を取ります。
休業(補償)給付
休業補償給付は、労災で休業している期間の金銭の給付です。仕事上の病気やけがで働けない時に、特別支給金と合わせて給付基礎日額の80%支給されます。大雑把に、給料の8割が補償されると理解しておけばいいでしょう。
ちなみに、通勤災害の場合は名称が変わります。補償が取れて休業給付と呼ばれます。
障害(補償)給付
障害補償給付は、労災の結果障害が残った人に対する給付です。
傷害の程度によって、年金だったり一時金だったりします。もちろん、傷害の程度が重ければ年金で、軽い障害の場合は一時金が支払われます。
通勤災害の場合は名称が変わり、障害給付と呼ばれます。
遺族(補償)給付
業務災害による死亡したときに、労働者の遺族に給付があります。
一定の条件を満たす家族がいる場合は年金が支給されます。その条件を満たす家族がいない場合は、遺族補償一時金が支払われます。
通勤災害も対象になりますが、その場合は遺族給付とよばれます。
葬祭料・総裁給付
葬式代です。葬式を行う人に支給されます。
傷病(補償)年金
仕事上の病気やケガが療養開始後1年6か月を経過しても治らず、一定の障害の状態が続いている場合に、傷病補償年金が支給されます。
通勤災害の場合は、傷病年金と名前が変わります。
健康保険より手厚い給付
これらの給付は、健康保険と比べるとかなり手厚いものです。労災保険があるので、労働者は安心して仕事ができるわけですね。万一仕事上でけがを負って仕事ができないような場合でも、ある程度の収入は確保できるわけです。
- 通勤災害の場合は、ちょっとごちゃごちゃしますけど。金額的に、かかっても200円と細かい話なので、省略しましょう。 [↩]
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