2017年2月の完全失業率が3%を割って2.8%になりました。一般的には、金融政策の効果が出て失業率が減っていると解釈するのが合理的でしょう。
しかし世の中には、少子高齢化の影響で失業率が下がっていると解釈する人もいるようです。率直に言って、この主張は無理があるように思われます。
そして、少子高齢化の影響で失業率が下がっていたと主張する人たちは、少子高齢化の影響でデフレだったと言っていた人たちと同じであるという疑惑も。政権批判できればなんでもアリって事?
完全失業率が3%を割りました
一番最近の統計では、完全失業率が2.8%をつけたのだそうです。2017年2月の数字ですね。
2%台になるのは、1994年12月以来の事だといいます。ということは、過去20年では最も失業率が下がっていることになるわけですね。かなり低い失業率と言って良いでしょう。1
少子高齢化で失業率が低下?そんな馬鹿な
ところで、今回の失業率の低下は、少子高齢化が原因であると指摘する人もいるようです。例えば、毎日新聞の「生産性向上が不可欠=失業率2%台、続く人手不足」という記事には「団塊世代が定年退職し少子化も進む中」というような記述があります。
ちなみにこの記事では、少子高齢化だけが失業率低下の要因だとは言っていません。ただ、大きな要因の一つだとはとらえていそうですね。
もっとひどいものになると、失業率低下の最大の要因が少子高齢化だととらえているものもあるようです。経済政策が上手くいったのではなく、少子高齢化が進んだから失業率が減ったと主張するのです。アベノミクスが要因だとは、どうしても認めたくないのでしょうか。
少子高齢化説は明らかな間違い
でも、少子高齢化になったから失業が増える言い出す人がいるのには、ちょっと違和感を覚えます。というのも、数年前までは日本経済はあまり良い状況ではなく、失業率はずっと高かったからです。少子高齢化が進んだとはいえ、そこまで急激な変化があるわけではありません。
実は、少子高齢化説が間違いであるもっと明確な証拠もあります。というのも、総務省のサイトには次のような記述があるからです。
雇用者数は5754万人。前年同月に比べ48万人の増加。50か月連続の増加
少子高齢化が失業率低下の要因なら、雇われている人が50か月増え続けるなんてありえないですよね。景気が回復しているから、失業が減っているのです。
この数字を見ると、少子高齢化で失業率が低下していると主張する人たちに対して「そんな馬鹿な」という感想を持ってしまうわけです。だって、雇用者数が増えての失業率低下なら、少子高齢化なんて関係ないですからね。
デフレの要因も少子高齢化が原因と騒いでいましたっけ
さらに言うと、マスコミの人たちって、少し前まで人口デフレ論をあおっていましたよね。人口が減るからデフレになるというやつです。
これもかなり眉唾で、一般的には人口の減少はインフレ要因です。また、日本以外の先進国も同じく少子高齢化を迎えていますが、デフレにはなっていないんですよね。低いインフレ率ながら、プラスである国が多いのです。
さらに言うと、日本以上に少子高齢化が心配されている中国や韓国ですら、インフレ率はプラスです。もっとも、中国の統計はあてにはなりませんけどね。まあ、韓国の統計は、ある程度信頼して良いでしょう。
ということは、デフレになったのも少子高齢化が原因で、失業率が減ったのも少子高齢化が原因だと言うわけですね。もしこれ尾を同じ人が言っているのだとしたら、完全な論理の破綻ですよね。
でも、実際に、同じ人が言っているような気がするんだよなあ。政権批判のためなら、多少の論理の矛盾など気にしないという人もいそうですしね。
- 生産性向上が不可欠=失業率2%台、続く人手不足
時事通信 2017/3/31 [↩]
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