東洋経済オンライン に「『人余り』が解消、いよいよ賃金は上昇局面へ」という記事が載っていました。村上尚己
さんという方の記事です。
どんな記事かを一言でいうと、有効求人倍率が2%台になったので、人手不足が原因で賃金が上がるのではないかという記事です。
「人手不足→賃金上昇」は自然な推論
人手不足ということは、企業は人材を確保するために、社員により高い賃金を提示しないといけません。また、確実に人材を確保しようと思ったら、非正規の社員を正規社員として採用するというような動きもあるでしょう。
つまり、人手不足になれば賃金が上がるのは必然だというわけです。まあ、当たり前の話ですよね。
もっとも、賃金が上がっていくためには、今後とも人手不足の状況が続く必要があります。金融緩和を中途半端なところでやめてしまうと、賃金が上がる前に好景気が終わってしまうリスクもありますけどね。
まあ、常識的に考えれば、今の段階で金融緩和を止めるはずはありません。
ただ不思議な事に、世の中には、今の段階で金融緩和を止めろと言う人もいるようですけど。
非正規の雇用が増えただけというお決まりの批判
このニュースに関して、Yahoo!ニュースのコメント欄に次のような批判がありました。
失業率2%っていうけど、結局のところ「非正規雇用」が増えたから、こうなったっていうことじゃないの?
あるいは、次のような批判です。
いやいやいや、何か違う気がする。
正社員以外を穴埋めしているんだろ?
これまた不思議な事に、Yahoo!ニュースのコメント欄には、雇用が改善しているというニュースに過剰に反応する人がいるようです。そして、その人たちが持ち出してくるのが、増えているのは非正規の雇用だけという意見です。
正規社員の数も増えています
確かに、景気回復の最初のころにまず増えるのは、非正規雇用です。
企業としては正社員というのはなかなか雇いづらいものです。なぜかというと、正社員を一度雇うと、なかなか首にできないからです。つまり、一生養っていく覚悟が無いと、企業としては正社員を採れないのです。
ですから景気回復の最初は、まず非正規を増やそうとするのです。これは当たり前の事です。
しかし上にも書いたように、景気の回復が次の段階に進むと、企業は正社員を増やすようになります。アルバイトでは逃げられてしまう可能性が大きくなるので、正社員にして囲い込もうとするわけです。
そして実際、ここ数年は正社員の数は増えています。厚生労働省の労働力調査によると、減少傾向だった正規社員の数は2015年に増加に転じ、2016年も増えているのです。
つまり、非正規が増えているだけというような批判をする人たちは、状況が変化していることに気づいていないわけですね。
人手不足になったら賃金が上がるというのはまっとうな予想です
このように、日本の雇用が良くなっていることをどうしても認めたくない人が、どうやら存在するようです。こういう人たちは、どんなに雇用が良いという統計を見ても納得しないのでしょう。もう、かまうだけ時間の無駄だと思われます。
少なくとも、2017年4月の段階で言えるのは、失業が減って人手不足になってきたという事実です。この事実から考えられる自然な帰結としては、賃金が上がっていくという事しか考えられません。
経済政策が突然変わるとか、戦争で不景気になるとかいった事態でもない限り、最初に紹介した記事が言うように、賃金は上昇すると考えて良いでしょう。
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