失業率が減ったのは、少子化の影響で働く人が減ったからだと主張する人がいます。これは本当なのでしょうか。
実は、これは、明らかな嘘なのです。ちょっと調べれば、簡単に分かります。
「少子化だから失業率が減った」は本当?
最近、某ニュースサイトで、次のような趣旨のコメントを書きました。
「アベノミクスに対する評価は様々だろうけど、確実に雇用は改善している。これは、完全失業率や有効求人倍率を見れば明らか。」
すると、これに対して、同意しないという趣旨のコメントがたくさん来ました。あとは、同意しないを示す投票も。
まあ、こういう反応は予想していましたけどね。でも、事実を踏まえない感情的な反発には、少々困ってしまいます。なら、そもそもコメントするなって話もあるんですけどね。
否定する人たちの主張
私のコメントに反発する人たちの論拠は、一言でいうと「少子化だから失業が減っている用に見えるだけ」というものです。だから、実際には、景気は全く回復していないといいたいようです。
さて、この発言は、本当に正しいのでしょうか。何となく、説得力がありそうですよね。
労働力人口は増えている
でも、ちょっと調べて見ると、少子化の影響で云々という主張は完全に間違いだと分かります。それが次のグラフです。

このグラフは、労働力人口の対前年比のグラフです。労働力人口というのは、就業者数と完全失業者数を合わせたものです。労働力人口は、総務省の労働力調査で分かります。
労働力人口 = 就業者数 + 完全失業者数
つまり、働いている人と、働く意志がある人ということですね。2012年以降、この数が増えているのです。
ということは、少子化だから失業率が下がるというのは完全に間違っていますよね。だって、働く気がある人は、前の年寄り増えているわけですから。
少子化なのに労働力人口が増えているのはなぜ
ところで、少子化なのに労働力人口が減っているってどういうことでしょうか。ちょっと不思議ではありませんか。
労働力人口というのは、15歳以上人口から非労働人口を引いたものです。つまり、次のような関係があります。
労働力人口 = 15歳以上人口 - 非労働力人口
ということは、非労働力人口が減れば、15歳以上人口が減っても、労働力人口が増えるわけです。
非労働力人口というのは、学生や仕事をしていない人です。ですから、例えば、無職で仕事を探してもいない人が仕事を探し始めると、非労働力人口は減るわけです。
ですから、少子化で人が減っても、労働力人口が増えるということは有りえます。
就業者数も増えている
もう一つ、次の表もご覧ください。こちらは就業者数の対前年比のグラフです。

こちらで見ても、2012年以降対前年比で増えているのが分かります。働いている人も増えているわけですね。
ということは、やっぱり、少子化が原因で失業率が改善しているわけではないということですね。少子化にも関わらず、就業者が増えたということですから。
ということは、少なくとも雇用に関しては、アベノミクスには一定の成果があったことになります。
簡単に裏が取れることはチェックしましょう
雇用の改善は少子化のせいだというのは、誰が言い出したのでしょうか。アベノミクスが失敗だと言いたい人なのは間違いないと思うのですけどね。
でも、少子化だから云々というのは、そもそも、論理的に考えてもおかしいんですよね。というのも、少子化の影響では、一気にくるわけでは無いからです。
仕事が出来る人の数はたしかに減るでしょう。でも、それは、何年もかけて徐々に減るはずなんです。
その点だけ考えても、ちょっとおかしいと気づくはずです。で、実際の就業者数や労働力人口をみると、それが増えている事が確かめられるというわけです。
ちょっと疑問に思ったら、裏を取ってみるのは大事だということですね。疑問に思わず頭から信じている人は、どうしようも無いですけどね。
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