よく、「失業保険」とか「雇用保険」とかいう言葉を聞きます。話を聞く限り、どうやら似たような制度を指しているようですね。
この2つの保険は、それぞれどういうものなのでしょうか。また、どういう違いがあるのでしょうか。簡単に見てみましょう。
失業保険という保険はなくなりました
まずは、国語辞典の定義をチェックしてみましょう。失業保険には2つの意味があるようです。1つ目が「労働者が失業した場合に、一定期間、一定金額の保険金を支給して、生活の安定を保障しようとする社会保険。(大辞泉)」という説明でした。
でも、現行制度では、失業保険という名前の社会保険は存在しません。ですからこの説明は、ちょっと奇異に感じます。
実は、失業保険という社会保険が以前は存在しました。法制化され、昭和22年に実施されています。その後の法改正で、昭和50年に雇用保険へと変わっています。つまり、昭和50年の法改正で、失業保険という名前の保険は無くなったということです。
ちなみに、2つ目の意味は「俗に、失業手当のこと。『失業保険を受給する』→基本手当」とあります。どうやら、世間でつかわれているのは、この2つ目の意味のようですね。もっとも、失業保険という名前の社会保険が存在していると思っている人は、少なからずいそうですけどね。
失業保険という言葉は未だに使われる
公的な保険制度という意味での失業保険は、現在では存在しません。しかし、現在でも失業保険という保険制度が存在していると思っている人も多いように思います。
また、雇用保険よりは失業保険という名前の方が認知度が高いのかもしれませんね。少なくとも、かなりの割合の人が、雇用保険でなく失業保険と認識しているはずです。それに、ハローワークなどで失業保険と言っても、おそらく雇用保険のことだと理解してくれるでしょうしね。
そもそも、失業保険という名称の方が、雇用保険の基本手当よりもイメージしやすいですし覚えやすいはずです。ですから、いまだに失業保険と呼ぶ人が多いのは、当然の事なのかもしれません。
このような状況ですから、失業保険と雇用保険を正確に区別できなくても、大きな問題は無いでしょう。このサイトでも、雇用保険という言葉の代わり失業保険という言葉を意図的に使っている部分もあります。
ただ、失業保険という仕組み自体はなくなっているので、理解している人は正しい言葉を使った方が良いのかもしれませんね。
失業給付という給付は存在します
ちなみに、失業保険に近い名前のものが、今でも残っています。サラリーマンが失業したときに、基本手当てという給付がもらえます。この基本手当ては失業給付と言うこともあるのです。また、失業手当ということもあります。
このように、雇用保険の基本手当に関しては似たような言葉がたくさん存在します。実は行政の方でも統一していない部分があって、ハローワークのサイト内で「失業手当」という用語を使っているケースもあるようです。
いくら基本手当が正式な用語だと言っても、この名前ではイメージしづらいですよね。ですから、「失業○○」という単語が頻繁に使われるのは、不思議ではありません。最初に基本手当っていう名前にした人のセンスの問題でしょう。
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