病気のために会社を辞めるという人もいるでしょう。こういう人は、辞めた後に失業保険がもらえるのでしょうか。あるいは、失業保険以外の何か社会保障があるのでしょうか。かなり切実な問題ですから、気になる人も多いでしょう。
病気やケガが理由で会社を辞める必要は無い
まず、大前提として知っておくべきなのは、病気やケガが理由でも簡単に解雇することはできないという点でしょう。そもそも会社は、簡単に労働者を解雇できないことになっているからです。例えば、病気で休みがちだという事だけでは、解雇するのは難しいはずです。
病気やケガが理由で一方的に解雇されたような場合は、争ってみる価値はあるかもしれません。
病気が理由で会社を辞めた場合は、失業保険をもらえないかも
病気やケガのために会社を辞めた場合は、雇用保険の基本手当(以下、「失業保険」と呼びます)がもらえそうですよね。少なくとも仕事をしていないのまちがいありませんから。
ただ残念なことに、病気をして会社を辞めたようなケースでは失業保険はもらえそうにありません。なぜかというと、雇用保険法での失業の定義は、労働の意思及び能力が有るのに仕事が無い状態を言うからです。1
病気をして仕事を辞めたということは、今働けない状態にある可能性が大きそうですよね。そうであれば、失業しているとはみなされません。となると、失業保険ももらえないわけです。
ただ、必ずしも失業保険がもらえないということでもありません。以前の仕事は無理だけど、軽い仕事なら大丈夫という場合は、話は違うかもしれないのです。
軽い仕事なら可能ということなら、働ける状態にはありますからね。雇用保険法における失業の用件を満たします。
まあ、ケース・バイ・ケースということでしょうね。ただ、難しいケースがあることは覚えておいた方が良いでしょう。
傷病手当や傷病手当金が使えないか調べてみよう
失業保険に関しては以上のような感じです。ただ、いわゆる失業保険以外の公的な制度が使える可能性があります。
傷病手当が使えるか調べてみましょう
まず、雇用保険には基本手当(要するに失業保険)以外の給付があります。その一つが傷病手当と呼ばれるものです。
傷病手当というのは、要するに、失業保険を貰っている人が病気やケガで働けない時にもらえる給付です。上にも書いたように、病気やケガをしている期間は失業者とは認められません。ですから、失業保険はもらえないのが原則です。
しかし、病気やケガで働けない期間に関しては、傷病手当がもらえるというわけです。
ただ、この仕組みは、失業保険を貰う資格がある人が病気やケガで働けない場合の仕組みです。ですから、ケガや病気で仕事を辞める場合は、残念ながらあまり関係がありません。
仕事を辞める前に傷病手当金を貰い始めるという手も
もう一つ考えられるのが、傷病手当金を使う事です。「傷病手当金」は「傷病手当」と名前が似ていますが、全く別の仕組みです。というのも上で紹介した傷病手当は雇用保険法の給付なのに対して、傷病手当金は健康保険法の給付だからです。
非常にややこしいですが、正式名称がそうなっている以上は仕方がありません。
さて、傷病手当金がもらえるとなると、標準報酬日額の3分の2の額がもらえます。大雑把に言って、毎月の給料の3分の2が給付されるという事です。これはおそらく、失業給付をもらうよりも条件が良いはずです。
ただ傷病手当金は、あくまで健康保険の被保険者に対する仕組みです。ですから退職をまたぐ場合、傷病手当金がもらえないケースも多いようです。とりあえず、会社を辞める前に傷病手当金を貰う手続きはしておいた方が良さそうです。
とりあえずは、こういう制度があると知っておくことが重要です。理由はどうあれ、準備をしないで仕事をやめてしまうと、痛い目に遭います。
- 第四条 3 この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。 [↩]
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