ネット上で、次のような疑問が書かれていました。某質問サイトに有ったものです。
「私が働いているのは個人商店です。雇い主は『ウチは個人商店だから雇用保険なんて入れない』といっています。実際、法律はどうなっているのでしょう?」
個人事業主に雇われている場合は、雇用保険に入れないのでしょうか。確認しておきましょう。
個人事業主に雇われている場合、雇用保険に入れるのか?
上に書いたようなケースは、実際、少なく無さそうですよね。個人事業主に雇われている場合、はなから雇用保険は無理だと思っている人もいそうです。おそらく、厚生年金に入れないケースがあったり、健康保険に入れないケースがあることから思い込んでしまうのでしょう。
実際のところ、法律はどうなっているのでしょう?
結論から書いてしまうと、個人事業主に雇用される場合でも、雇用保険には入ることが出来ます。雇用保険法という法律では、従業員を一人でも雇えば、その事業所は雇用保険に入らなければならないとしているからです。
これは法人が経営する事業所だけでなく、個人事業主の事業所の場合も同じです。この事は、雇用保険法に「第五条 この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。」と書かれている事からも分かります。
ただ、この条文には例外があります。一部のケースでは、雇用保険が任意適用となる事業所があるのです。任意適用という名前から分かるように、雇用保険に入っても入らなくても良いというケースがあるわけですね。
もっとも、任意適用になる事業というのは、個人経営の事業(法人以外の事業)で従業員従業員が常時5人の農林水産業の事業に限られます。ということは、ほとんどが雇用保険に入らなければならない事業ということですね。最初の質問にあったような個人商店でも、カフェやレストランでも当然入らないといけません。
つまり、今回のケースでは雇い主の人の言っている事は真っ赤な嘘ということになります。雇用保険に入ると事務作業も増えるでしょうし、保険料の負担も増えます。ですから、入れたくなかったのでしょうね。あるいは純粋に、個人事業主の事業でも、従業員を雇用保険に入れないといけないことを知らなかったのかもしれません。
労働者の側にも条件がある
上に書いたように、個人事業主に雇われるような場合でも、雇用保険に入るのに障害になることはありません。まあ、個人事業主の怠慢や無知が原因で、入れないことは有り得ますけどね。制度上は問題ないのです。
ただ、職場が雇用保険の適用事業になったからと言って、全ての労働者が雇用保険に入れるわけではありません。雇用保険に入るには、労働者側の条件もあるからです。
例えば、学生は原則としては駄目ですし、一週間の労働時間が短い人も雇用保険に入れません。こちらの条件で引っかかるも多いはずです。
とりあえず、1週間の労働時間が20時間を超えて長期的に働く可能性がある場合は、労働者側の条件を満たしている可能性が大きいです。自分は大丈夫なのか確認してみると良いでしょう。
困ったらハローワークへ
個人事業主の事業でも雇用保険の対象であることを事業主に伝えたとします。それでも、事業主がすぐに対応するとは思えません。なんだかんだと理屈をつけて、手続きをしない可能性も大きそうですね。そういう場合は、とりあえずハローワークに相談してみる事をお勧めします。
また、事業主を説得しきれずに退職してしまったような場合でも、全く手が無いわけではありません。仕事を辞めた後にハローワークに相談すると、2年分さかのぼって雇用保険に入っていたことにしてくれる可能性もあります。
というわけで、どういうケースであれ、ハローワークに相談するというのが一番確実な方法です。なかなか行くことが無い場所だとは思いますが、困っている人は訪ねてみてください。
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