雇用保険(失業保険)の基本手当は、失業している人の生活を支えるための制度です。ですから、当然ですが、失業していることが受給の条件になります。逆に言うと、会社を辞めた後にすぐ次の仕事をすると、基本手当はもらえません。
もちろん、新しい仕事が見つかるのは良いことです。でも、これまで払ってきた雇用保険の保険料を取り戻せないと思うと、ちょっともったいない気もしますよね。
でも実は、すぐに仕事が見つかった場合も、金銭的にメリットがあるケースもあるのです。何かしらもらえるのであれば、雇用保険の保険料を損した気分にもなりませんよね。
再就職手当てがもらえる可能性があります
失業すると、次の仕事を探すためにハローワークに行きます。そこで、休職の申し込みというのをするのです。その後1週間以上たってから仕事が見つかった場合、再就職手当というお金をもらえる可能性があります。
再就職支援を受けるには、いくつかの用件を満たす必要があります。その中で、特に大きいのは次の3つでしょう。
①受給手続き後、7日間の待期期間(※)満了後に就職、又は事業を開始したこと。
②就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
⑤1年を超えて勤務することが確実であること。
以上は、ハローワークのサイトから引用しました。失業してから比較的早期の段階で、安定した仕事に就いた場合再就職手当がもらえるというイメージですね。
細かいことを言うと、倒産や解雇で失業した場合と、自己都合で会社を辞めた場合では、条件が違ったりします。詳しい内容に興味がある人は、はルーワークのサイトをチェックしてみると良いでしょう。実際にいくらくらいもらえるかもチェックできるはずです。
再就職手当の給付額と注意点
さて、再就職手当はどの程度もらえるのでしょうか。計算式を紹介します。
失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上だと、次の額がもらえます。
(所定給付日数の支給残日数)×60%×(基本手当日額(上限あり))
また、失業保険の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上3分の2未満だと、次の額がもらえます。
(所定給付日数の支給残日数)×50%×(基本手当日額(上限あり))
支給残日数が所定給付日数の3分の1未満だと、再就職手当はもらえません。
また、基本手当日額の上限は、これを書いている段階では、5,805円です。ただこれは、毎年変更される可能性があります。
用語の確認をしておきましょう
上の式で「所定給付日数」と「支給残日数」という言葉がちょっと分かりづらいでしょうか。簡単に説明しておきましょう。
失業保険というのは、1日の失業に付き〇〇円という形で給付があります。所定給付日数というのは、失業保険を最大何日分もらえるかという日数ですね。最短でも90日はあります。そして、支給残日数というのは、あと最大何日分の失業保険をもらえるのかという日数の事です。
例えば、所定給付日数が90日の人が20日分失業保険をもらった後、再就職したとします。そうすると支給残日数は70日となるわけです。
いくらくらいもらえるのか
さて、再就職手当はいくらくらいもらえるのでしょうか。適当な数字を入れて計算してみましょう。
具体的には、所定給付日数が90日の人が失業保険を20日分もらった時点で就職したとします。このとき、基本手当日額は5,000円だったとしましょうか。
支給残日数は所定給付日数の3分の2以上残っていますから、次のように計算できます。
70×0.6×5000=21万円
所定給付日数が多く残っている場合、結構な額がもらえる事が分かります。例えば、条件次第では300日以上残るという可能性もありますからね。最大で100万円近くもらえる可能性があるわけです。
給付制限期間中に再就職した場合はどうなるのか
ちょっと気になるのは、給付制限期間中に再就職した場合です。給付制限期間というのは、文字通り給付を制限される期間です。例えば、自己都合で会社を辞めたような場合が該当しますね。
給付制限をされている期間に再就職をした場合でも、実は、再就職手当は給付されます。ただし、次のような制限がつきます。
受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待機期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
これは要するに、自己都合で辞めたような場合は、給付制限期間の最初の1か月間はもらえないケースがあるという事です。最初から転職先を決めておいて退職するようなケースでは、再就職手当はダメという事なのでしょうね。
就業手当という手当ても
再就職手当には、「1年を超えて勤務することが確実であること」という条件がつきます。それでは、もっと短期の仕事の場合はどうなのでしょうか。実は、短期の仕事の場合は、「就業手当」というお金がもらえる可能性があります。
就職促進給付という給付の一部です
再就職手当も就業手当も、就職促進給付という給付の一部です。就職促進給付には、このほかに、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費などもあります。自分に関連したものが無いか、チェックし見ると良いでしょう。
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