次のようなケースを考えてみましょう。
Aさんは長年勤めた会社を解雇されることになりました。気分転換の意味もこめ、退職後半年くらいは働かず、しばらく休養するつもりでいます。
さて、こんなAさんは失業保険をもらうことができるでしょうか。
法律どおりに解釈すると
失業保険(雇用保険の基本手当)は失業者がお金をもらうことができる仕組みです。一般的なイメージだと、Aさんは失業している状態に見えますよね。会社から解雇されていますから。そうであれば、基本手当の受給は可能だと思う人が多そうですよね。
でも実は、すぐに働く気が無いAさんは失業保険をもらうことができないんです。少なくとも、法律を厳格に解釈すると、そういう結論になります。
なぜAさんが基本手当の受給を出来ないかというと、Aさんは雇用保険法が定義する失業の状態に無いからです。雇用保険法で言う「失業」は、一般的に私たちが日常的に使う「失業」とは、少し違う意味で使われているのです。
雇用保険で言う失業は次のような状態です。
「就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就くことができない」状態(ウィキペディアより)
問題文のAさんの場合、すぐに働く気はありません。ですから、「いつでも就職できる」とはいえないのです。ですから、基本手当を貰うことはできないということになります。ただ仕事を辞めていればもらえるというわけではないのです。
Aさんが仕事を探しているフリをしたら
ルールとしては、上のような感じになっています。ただ、Aさんがハローワークに行って求職の申込みを行えば、Aさんには基本手当が支払われることになるでしょう。あとは、4週間に1回の決まった日にハローワークに通い、それ以外にも仕事を探しているフリをすれば良いわけです。
外から見た範囲では、Aさんがしばらく仕事をする気が無いかどうかは分からないですからね。手続き上は通ってしまうはずです。
ちなみに最近はハローワークも厳しくなり、仕事を真面目に探しているかどうかを真剣にチェックするようになっているようです。ですから、この手の人の失業保険の受給は、以前と比べれば難しくなっているでしょうけどね。
またちょっと難しいのが、今すぐに仕事をする気が無いAさんでも、凄く条件が良い仕事があれば予定を変更しても良いと思っているかも知れませんよね。
そういう気持ちがあれば、雇用保険法の言う失業の状態に無いとも言えません。条件の良い仕事ばかりを探していても、一応、就職活動はしていることにはなりますよね。
と、このように、なかなか繊細な問題であるようです。法律の専門家はどう解釈するのかなあ。
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