雇用保険と言えば、いわゆる失業保険の機能を持った保険として知られています。失業者が一定の条件を満たすと、「基本手当」と呼ばれるお金がもらえる仕組みですね。
ただ、実際の雇用保険の機能は、失業保険だけではありません。それ以外にも様々な機能を持っています。
雇用保険が持つその他の機能を理解するために、まずは雇用保険法の「目的」についてみてみましょう。どんなことを目指して雇用保険が出来たのかがよくわかります。
それがわかれば、雇用保険の保障の位置づけも理解しやすいはずです。
意外と長い雇用保険の目的
まずは、雇用保険法の条文をチェックしてみましょう。雇用保険の目的について書かれた第一条です。
(目的)
第一条 雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
ちなみに、上の条文で句点(「。」)は一つだけです。長い文ですね。
これを読むと分かるように、雇用保険の目的は一つでは有りません。色々な目的があることが分かります。
一つずつみてみましょう。まずは、機能面から。
雇用保険の機能
■ 失業保険としての機能
労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行う
まずは、失業保険の機能ですね。ただ、失業した場合だけでなく、「雇用の継続が困難となる事由が生じた場合」も給付を行うとあります。
ということは、単に失業保険としての機能だけではないと言うことですね。
■ 労働者の教育訓練の機能
労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を行う
これを読むと分かるように、教育訓練に対しての給付の機能もあります。仕事に就きやすくしたり、仕事の能力を上げたりすることも目的としているわけです。
機能としては、以上の2つです。
雇用保険の目的
上に書いたような機能を公的に設ける目的は、次のようなものです。
- 労働者の生活及び雇用の安定を図る
- 求職活動を容易にする等その就職を促進
- 労働者の職業の安定に資する
- 「失業の予防」
- 「雇用状態の是正」
- 「雇用機会の増大」
- 「労働者の能力の開発及び向上」
- 「その他労働者の福祉の増進を図る」
色々書かれていますが、「労働者の生活」「労働者の雇用」「労働者の職業」の3つを安定させると書かれていますね。そして、職業の安定に関して、具体的に色々と列挙されています。
また、「求職活動を容易にする等その就職を促進」ということですから、仕事を探し易い環境を作ることも目的として掲げられています。
こうやって整理して見てみると、それほど難しい事ではないですね。大雑把に言ってしまうと、職業関連の安定と、失業者が就職しやすくするための法律です。
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