先日スイスで最低賃金をめぐる国民投票があったのだそうです。22スイスフラン(約2,500円)を最低賃金にするかどうかでもめていたのだそうです。
日本だと最低賃金は800円前後ですよね。都道府県にも拠りますけど。そこから考えると、2,500円というのはとんでもない数字です。日本の約3倍ということですから。
日本が発展途上国と言うのなら、数倍の開きがあっても不思議は無いんですけどね。もちろんそんなことはありませんし。
さすがに見送られたそうです
ちなみにこの国民投票ですが、反対が76%だったそうです。時給2,500円の最低賃金は見送られることになりました。
企業経営者たちは「高すぎる最低賃金は企業の国外移転を促し、失業率の増加につながりかねない」という主張をしていたようです。まあ、その通りでしょう。
最低でも時給2,500円に決め打ちされたら、スイス国内で何かを生産しようとは思わないでしょう。回りの国々に安い労働力がいくらでもありますから。
スイス以外では出来ないことを除いては、海外に移転しようと思うのが常識的な判断です。
ちょっとおかしいぞ
ちなみにこの記事を書いた人は、2,500円というのは必ずしも無謀な数字ではないと思っているようです。その根拠はスイスの一人当たりのGDPです。
ちょっと引用してみましょう。
スイスの一人当たりGDPは約8万1000ドルと、日本の2倍以上の水準になっています。確かにこれだけの豊かさがあれば、最低賃金制度がなくても、多くの労働者が2500円以上の時給を得ることは十分に可能でしょう。
でもこの考え方って、ちょっとおかしい気がしませんか。
まずおかしいのが、スイスの一人当たりGDPが日本の2倍なのに、最低賃金が日本の約3倍でも十分に可能だと考えているふしがあるところです。GDPが2倍だから、最低賃金が2倍ならまだ話は分かるのですけど。
さらに言うと、一人当たりのGDPが日本の2倍だからと言って、賃金も日本の2倍にならないと言う事実です。世の中そんな単純にはできていません。いくらなんでも単純すぎる議論なんですよね。
こういう議論をするのなら、せめてジニ係数でも示して議論すべきでしょう。日本とは比べ物にならないほど所得が偏在している可能性だってあるわけですから。
全てを把握した上で、議論を省いた可能性もありますけどね。どうもそんな感じでは無いように見えます。
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